五木寛之さん「大河の一滴」 ★★★☆☆ 五木寛之 幻冬舎文庫 ・前向きに生きることは悪いことではない。しかし、一方で現代の人間の存在そのものを悪と見て、そこから出発する生きかたもあるのではないか。「人が生きるということは苦しみの連続なのだ」と覚悟するところから出直す必要があるのではないか。 ・どんなに愛と善意に包まれて看取られようとも、死とは自己の責任で向きあわなければならない。 ・人を愛しても、それはお返しを期待することではない。愛も、思いやりも、ボランティアも、一方的にこちらの勝手でやることではにか。そう覚悟したときに、なにかが生まれる。 ・「地獄は一定」 ・「世間虚仮」 ・私という自分が二つある。すべての人間と共通している自分と、だれとも異なるただひとりの自分。その二つの自分は、ときとして対立し、ときとして同調する。 ・人間が極限状態のなかを耐えて最後まで生き抜いていくためには、感動することが大事、喜怒哀楽の人間的な感情が大切だ。無感動のあとにくるのは死のみである。 ・自分が個人として、ひとりで生きているということだけではなくて、自分の中にたくさんの人びとの <命> が重なって存在している。目に見えない記憶、あるいは息づかい、そういうものが、ぼく自身の体の中に伝わっている。 ・「千日きき流しせよ」 ・悲 「人生の目的」 ★★☆☆☆ 五木寛之 幻冬舎文庫 ・「正法の時代」「像法の時代」「末法の時代」「法滅の世」 ・人生に目的はない、と割り切っても、一方で、目的のない人生はいやだ、となぜか思ってしまうのだ。やはり人生に目的を持ちたい、と思うのが自然な人間の心のはたらきだろう。 ・努力とは何か。勇気とは何か。それもまた生まれつき偶然にあたえられた資質の一部なのではないか。 ・「善悪のふたつ、総じてもって存知せざるなり」 ・人生の目的の第一歩は、生きること、である。運命と宿命を知り、それを受容して、なお生きること。 ・口伝 ・「人の手本になることはできんが、見本くらいにはなれるじゃろう」 ・月月火水木金金 ・人間は子供をつくり、そして育ててきたというよりも、むしろ子供によって生かされてきた、喜びを与えられてきた、育てられてきた、こんな感じさえするくらいなのです。私たちはそろそろ多くを期待することをやめてもいいんじゃないか。 「運命の足音」 ★★☆☆☆ 五木寛之 幻冬舎文庫 ・地獄は一定 ・動物に感情はあるのか?私は、あると思う。少なくとも、ある種の感情をもっているにちがいないと思う。植物に感情はあるのか?私は、あると感じる。それは証明できないが、私はそれを感覚的に肯定する。石にも、水にも、風にも心があると感じるのだ。 ・「凡夫こそ本願の正機たるべし」 ・宗教とは、ささやかな抵抗、ささやかな反省、あるいはささやかな畏敬の念を抱かせるものです。そういう宗教があればこそ、社会というものは意味があり、人間も愛すべき存在である、といえるのではないでしょうか。 ・「生、老、病、死」 |